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関西発 地元のおいしいもん探訪

なにわの伝統野菜「三島独活」、全国で唯一の農家さんを訪ねて

2017年03月31日

◇全国でたった一軒、三島独活(みしまうど)を栽培する千提寺(せんだいじ)farm.


みなさんこんにちは、ぬくもりんくメンバーのしゅうさんです。
最近は少しずつ寒さも和らいできて、春の訪れを感じます。
春といえば、山菜が芽吹く季節ですね。山菜の中で、今回私たちが注目したのは“うど”(=独活)。
というのも、「なにわの伝統野菜」にも認定されている“三島独活”という大阪府茨木市の特産があることを知ったからです。

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みなさんは「うど」ってご存知ですか?
普段はなかなか食べたり調理する機会が少ないと思いますが、うどには“山うど”と“軟白うど”の2種類があります。山うどは光に当てながら栽培されるのでアクが強く、軟白うどは光を通さずに育てるので、アクが少ないといわれています。
三島独活も軟白うどの一種で、中でもひと際アクが少ないのが三島独活なのだそうです。水にさらさずに食べられ、“梨”みたいな味がするそうです。

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そんな話を聞くと、ますます三島独活への興味が高まってきました。一体、三島独活はどのようにして生産されているのでしょうか。
私たちは全国で唯一、三島独活の生産・販売をする千提寺(せんだいじ)farm.さんで、栽培の様子を見学してきました!

◇新しい生活、三島独活伝承へ


江戸時代から三島独活は旧三島郡で栽培されているもので、その栽培の仕方も江戸時代から継承され続けています。
千提寺(せんだいじ)farm.を営む中井大介さん・優紀さんご夫妻は、元々はサラリーマンで農業経験なし。しかし、大介さんの実家があるこの旧三島郡の茨木市北部(千提寺)に移住することになったのをきっかけに、この地区で農業を営み、消費を前提とした生き方ではなく、自然と寄り添い創造する生き方に感銘を受け、「地域のために、自分たちにできることは何かないか」と、考えるようになったそうです。
そして、最後の三島独活農家さんの「もう辞めようと思う」という言葉を聞き、「地域の誇りを次世代に繋いでいきたい」という強い気持ちを感じ、それまでの仕事を辞め、この伝統野菜を守るべく、熟練の三島独活農家さんから技術を継承したそうです。

◇畑から独活小屋へ、アナログ農法で栽培


畑に着いてまず見せてもらったのは、土の中に眠る独活の株。
こちらは来年に向けて育てているものです。春から12月末頃までは露地で光合成させながら独活を育てて、株に栄養を蓄えさせるそうです。その間に独活は花を咲かせ、枯れて栄養を蓄えます。そして1月、栄養がたまった株を掘り起こし、独活小屋へと移します。

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この大きな小屋が独活小屋で、ブルーの屋根はヨットの帆の特注品。湿度や気温が独活の生育に影響するので、独活に適した生育状態をつくるためにヨットの帆が適していたそうです。
ご近所さんにも手伝ってもらいながら、2日間かけて建てたそうです。

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三島独活が特にアクがなく、柔らかい理由は農法にあります。独活の株の上に藁と干し草を7層積み重ね、そこに水をかけ発酵させることで熱を生み出し、独活に春だと勘違いさせて育てます。干し草だけだと60度まで上昇するので、藁を重ねて温度を下げるそうです。この工程により独活は外気にさらされないため、アクがでません。また、一般的な軟白うどの栽培時に使用されているホルモン剤は使わずに独活を育てる技術が伝承されているため、柔らかくシャキシャキとした食感がします。ここにも先人の知恵がつまっていますね。

そうして春を感じたうどは、グングン成長していき、自分たちの力で7層の干し草と藁を押し上げていきます。その重みが彼らのストレスとなり、甘みへとつながるのだそうです!でも近年は暖冬により、そもそもうどが“冬を認識しない”こともあり思い通りに育たないこともあるそうです。自然を相手に生活するのはなんとも大変なことなんだと、実感させられました。

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何よりも私が驚いたのは、超アナログな育て方です。温度を一定に保つためには、徹底した温度管理が必要。毎日、温度計を使うのはもちろん自分の手でも温度を確かめ、高ければ藁の隙間を開けたり、敷き詰めた藁や干し草をひっくり返したり、藁を1束抜いたりと、最適な温度に保っていきます。

すべては大介さんの感覚次第。まだ独活栽培を学んで3年目で、師匠からひとり立ちして初めての春なのです。自分の感覚だけで作業していくのは、相当な神経を使われているはず。
そして、奥さまの優紀さんも、営業活動で大介さんをサポート。独活を販売するために、お子さんを抱えながら飛び込み営業をしたりと、あちこちへと奔走しているそうです。

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こんなにも手間をかけながらも、三島独活は、光と空気から遮断し栽培するため収穫時までどれだけ収穫できるかが見えません。ただ、おふたりとも三島独活が大好きで、「楽しい!」と目を輝かせていたのが印象的でした。
他に栽培している農家がない中で、師匠から学んだことをベースにしながらも、夫婦で力を合わせ、手探りで進んでいる中井さん夫妻。自然を相手に、大変なことも多いだろうけど、そんなことは微塵も感じさせないくらいに、明るく、元気でポジティブな優紀さん。そして、寡黙だけれど、独活たちを肌で感じながら大切に育てている大介さん。対照的だからこそ役割分担がはっきりと出来、お互いを尊敬し良きパートナーと思い合っているのだと感じました。

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そして江戸時代にこの農法を生み出した先人たちは本当に偉大だと感銘を受けました。優紀さんが「最高のアナログ技術、最高のエコ」と仰ったことにも納得です。これからは、三島独活生産者の育成のためにもセンサーを導入し、アナログと最先端技術でより効率的に栽培(生産)できることを目指されているそうです。

◇三島独活が教えてくれたこと


干し草は外来種が混ざると発熱が弱くなるため、地域の農家さんが独活のために、田んぼの畦に生えている在来種の草を刈らずにあえて伸ばしてくれていたり、小屋建てを手伝ってもらったりと、たくさんの人の支えによって成り立っている独活。
漢字で書くと“独活”と書くけれど、「独りじゃ、活きられへん」が千提寺farm.さんのキャッチコピー。「独活には人とのつながりの大切さを教えてくれる」という優紀さんの言葉に、地域のいろんな人たちの思いがつまっているのだと感じました。

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収穫期は約2週間~1ヶ月。光を当てられないため、収穫量も干し草と藁を開けてのお楽しみ…。
三島独活はまったくアクがなく見た目も真っ白で、梨のような味なのだそうです。

大変貴重なものなので今年はいただけなかったのですが、来年の楽しみにしたいと思います!

 

◇訪問先のご紹介


【千提寺(せんだいじ)farm.】
https://www.facebook.com/sendaijifarm.380/